ワコールの早期退職について

早期退職

前回、資生堂を調べていた際、偶然ワコールのことを目にしたことから、女性相手の商品を扱う企業として、共通点・相違点を確認したく、ワコールを調べることにしました。

ワコールの早期退職制度とは

ワコールホールディングスは、国内事業子会社のワコールで募集していた早期退職に215人が応募したと発表しています。募集人数は約150人程度で、2024年3月期には特別退職加算金など約22億円の営業費用を計上する予定です。この早期退職の募集は2年連続で行われており、ワコールHDは2期連続の最終赤字を見込んでいます。収益力の回復を目指すため、構造改革を進めていることも報じられています。また、昨年の応募人数は155人でした。

もっとも、早期退職自体は2005年から開始していたようです。
平成以降、昭和期に築いた経営スタイルに陰りが生じていたことは、バブル崩壊、ユニクロなどのファストファッションの進出、百貨店の売り上げ減少、人口減少、高齢化…といった時代背景から、容易に想像がつくところです。

ワコールの歴史

女性用下着メーカーであることは、誰もが知っていることですが、ここで会社の歴史を簡単に振り返ってみたいと思います。

ブラジャー製造で発展

  • 1946年 塚本幸一が和江商事を創業。当初はアクセサリー販売を行っていました。
江戸太郎
江戸太郎

塚本さんは、インパール作戦に従軍したという過酷な経験をされていたようだ

  • 1949年 「日本の女性を美しくしたい」という思いから、ブラジャーの製造に着手し、和江商事株式会社を設立。ブラパットの取り扱いを開始しました。
江戸太郎
江戸太郎

それにしても、男性がブラパットを開発するとはね…

商号変更

  • 1957年 商号をカタカナ表記の「ワコール」に改称。
  • 1964年 株式を公開(1部昇格は1971年)
  • 1966年 伸縮性と綿のような肌ざわりのフルストレッチブラ「ウイング」の発売

海外展開

  • 1970年 万博に出展
  • 1970年 韓国、台湾、タイに合弁会社を設立
  • 1981年 米国に現地法人を設立

バブル期にさらに売り上げ拡大

  • 1986年 形状記憶合金ワイヤー使用「ソフィブラ」発売
  • 1988年 「花金ブラ、月金ブラ、土日ブラ」発売

グッドアップブラで最高潮に

  • 1992年 寄せて上げる「グッドアップブラ」発売。ワコール最大のヒット商品となる。

創業者死去と社会情勢の退潮が同時に押し寄せる

  • 1990年代 バブル経済崩壊
  • 1998年 創業者塚本幸一死去

売り上げ低迷の局面に

  • 2000年ごろ 百貨店、量販店での売り上げが低迷
  • 2010年ごろ 卸売りビジネスの低迷
  • 2020年ごろ 新型コロナウィルスによる売り上げの低迷
  • 2023年 二期連続最終赤字、米国事業の撤退

商機挽回の模索

  • 2008年 ピーチジョンを子会社化 
  • 2023年 商品の品番数の削減や赤字店舗からの撤退などを発表

今後どうなるのか

ワコールのような下着事業においては、高齢化や人口減少という社会の縮減にはどうしても抗えない面があります。また、景気低迷の中では、見えない下着は節約の対象となるため、ファストファッションの低価格帯の商品には、どうしてもかないません。

ワコールは従業員を大切にする社風であることは、ネット上の書き込みからうかがえるところではありますが、事業縮小見直しの局面においては、リストラは避けて通れないのでしょう。早期退職で去っていく人々が、どのような思いでいるのか、気になるところです。

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