早期退職制度の本音

早期退職

会社の言い分

会社側の本音を言ってしまうと

  • 人件費が高い
  • 処遇ポストがない
  • 若い人を上に持ち上げて育てたい
  • 性格的に難がある

ことなどから、無駄と思われるシニア社員を解雇したいのです。
しかし、一方的な解雇は法律で禁止されています。

そこで、会社に居づらくしたうえで、水増し金を払い、自ら退職してもらうように誘導します。
これが「早期退職制度」の実態です。

家族的な会社は、ここまで悪意に満ちていないかもしれませんが、経営が厳しい会社は、実際こんなものでしょう。

2024年に早期退職を実施する企業

この記事を書いている時点で、「早期退職」がニュースになった会社の発表資料と記事を調べました。

  1. オムロン
    構造改革プログラム「NEXT 2025」に関するお知らせ| オムロン (omron.com)国内約1,000名、海外約1,000名の合計約2,000名、社員の6%を切り落とす大量削減。
  2. 資生堂
    3789_s9s79_jp.pdf (shiseido.com) 約1,500名、約3%の削減。
  3. セブン&アイ
    イトーヨーカ堂、早期退職に700人応募 正社員の1割 – 日本経済新聞 (nikkei.com) 
    700名、社員の10%が退職というディープ・インパクト。
  4. ソニー
    ソニー・インタラクティブエンタテインメントの世界全地域の社員約900人が対象。
    役職者がいきなり平社員に降格するようで驚きでした。
  5. ワコール
    wacoalholdingsnews20240226.pdf
    150名の予定で、215名が退職。

シニア社員のみなさんは、正直どのような心境でしょう。文句も言わず、現実を静かに受け止めているのでしょうか。

江戸太郎
江戸太郎

拙者の会社は、人財とおだてながら、早期退職でバッサリ切り捨てておったな

公正さが保てないと、会社は沈む

私の勤めていた会社では、数年前から、大手銀行からやってきた経営者が「人事制度改革」と称して、管理職制度の見直しや早期退職の勧奨を始めました。表向きは「組織を強靭にする」「適正な人事処遇を行う」というものでしたが、体のいい言葉で取り繕っているだけで、実際は「不要なシニア世代の切り捨て」でした。

この人事施策に対しては、多くの不満が噴出していました。そのひどさは、週刊誌などでもしばしば取り上げられました。そして、ついに経営者が交代となり、これまでの施策の巻き戻しが始まったのです。

現在の経営で事態が正常化されたとは思いませんが、それでも「過去の施策には重大な不正があった」と、外部識者が結論付ける報告書まで出る始末です。

今現在に至っても、これまでの混乱が尾を引いています。将来像がはっきり見えない会社の病巣を、あからさまに世間にさらしてしまいました。

シニアを切ると、若手が辞めていく

早期退職制度の導入で、高齢者の退職勧奨を行うと、なぜか辞めてほしくない若手が辞めてしまうという皮肉な現象が起きます。

極端なたとえですが、「55歳以降は選抜に漏れた者以外は死刑に処する」などという決まりがあったらどうしますか?きっと、誰もがそこから逃げ出すことでしょう。死刑は極端な表現かもしれませんが、勤め人にとって「早期退職」は、それほどの重みのある処遇であります。

若手社員にとっては、年を重ねたときのことに思いを馳せることは難しいかもしれません。
ただ、誰も平等に年齢を重ねていきます。自分がシニアになった頃、早期退職の憂き目に遭うことを、瞼の裏に想像している若者もいるかもしれません。

若者が早期退職する原因のトップは、企業に将来性を感じないということだそうです。早期退職を募集すること自体が、そもそも企業経営が不安定であることの証でしかありません。

厚生労働省の調査によると、学歴に関係なく、3年以内に職場を去る若者は3割を超えています。派手なシニア切りは、思わぬ副作用をもたらします。

それでも早期退職は続く

世の中のスピードに追い付けないシニア社員がいるのは事実でしょうが、一方で若手が優秀であるとは一概には言えません。

今は、若手でも歳をとれば、やがてシニア世代です。その時に、肩たたきの対象になってしまうかもしれません。
もっとも、バブル世代とは異なり、採用数が少ないことから、今のような規模の早期退職は行われないかもしれません。

江戸太郎
江戸太郎

斬りまくっていたら、人はいなくなる…

無駄な時間はもったいない

一方で、仕事が充実していないのに、退屈な会社勤めで、残りの人生の貴重な時間や機会をつぶしてしまうのは、何とももったいないことです。

毎日やることがなく、暇を持て余しているだけという人もいるでしょう。また、面倒な雑用ばかり押し付けられる人もいるでしょう。生きていく金があるのなら、こんな悪習からは一刻も早く足を洗って、無駄な時間を使わぬように改善べきです。何か、前向きなことをやったほうが健全だと思います。

たとえ、仕事ができる優秀な人でも、切り捨ての対象になってしまう場合があります。飛びぬけて優秀であれば、即独立も可能でしょうが、大半の人は準備に時間がかかるはずです。
自分の人生を、実りあるものにするために、少しずつでかまいませんから、会社に依存しなくても生きていけるよう、準備を進めていくべきだと思います。


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