先日、早期退職制度に揺れるNHKについて記事化した後で、耳を疑うような事件がNHKで起きてしまいました。
事の経緯
8月19日、NHKのラジオ国際放送とラジオ第二放送で同時放送している「中国語ニュース」において、「尖閣諸島は中国の領土である」という内容の放送がされてしまったのです。
原因は、中国籍の外部スタッフが、独断で放送したということだそうです。現在、この外部スタッフと業務委託契約を結んでいる関連団体が事情聴取をしているものと思われます。
このスタッフは、20年前からNHKで仕事をしていたそうです。今回の発言については、突然思いついて口から出た類のものではありません。以前から思っていたのであれば、今回のような行動を以前からやっていたのではないかという疑問がわいてきます。
そして、このスタッフは業務委託契約を解除されるとともに、NHKおよび関連団体から損害賠償されることになるのでしょうし、また業務妨害罪などで刑事事件となることも考えられますが、単にそれでおしまいという単純な問題ではありません。
国から交付金をもらって行う国際放送
NHKの国際放送は、国の重要な政策や政府の見解、日本の文化などを海外に正確に伝えるため、事業の一部が交付金、すなわち税金によって賄われています。2023年度は、ラジオ国際放送に6.9億円が交付されています。
それ以外の費用は受信料であり、性格こそ異なれど、国民から預かった受信料です。
問題の大きさ
今回の事件では、尖閣諸島の領有権という日本の重要な政策であり、日本固有の領土であるという政府の見解の正反対の主張が、放送の電波に乗って流されてしまったのです。
いわば、言論によるテロリズムです。
一個人の悪意によって、放送がジャックされる危険は、制作スタッフの人数に反比例します。人数が多い環境であればあるほど、問題行動をする障害の壁が高くなります。
今回は、ラジオ番組であり、しかも中国語ニュースということなので、制作スタッフはおそらく数名だったと思われます。しかも、生放送です。悪意による放送乗っ取りは、たやすい状況です。
ラジオ国際放送と中国語ニュースの同時放送は、平成初期から行われていたそうです。その間、尖閣をめぐる問題が起きるなどしましたが、NHKの制作体制は、そのまま続いていたということです。
過去にも行われていなかったのか
英語と違って、中国語を話せる人は、NHKの中にも多くはないはずです。ですから、放送内容の確認をできる人は、限られています。
今回の放送以外にも、日本の国益を害する内容がなかったのか、確認しなければいけません。
この中国人スタッフが恒常的にスパイ行為を行っていたのではないか、その場を安易に提供していたのではないかといった疑いもかかっています。
また、中国以外にも利害が対立する国があるので、中国語以外の放送番組も、不用意な内容が含まれていないか確認する必要があります。
関係者の処分
不始末の内容が内容だけに、担当者と直属の上司だけを処分して済む話ではないと思われます。
多くの議員たちもこの問題を重くみています。役員、局長レベルの更迭は、どうやら避けられそうにないでしょう。
前田人事制度改革によって、NHKは強靭どころかすっかり脆弱な体質になってしまったようです。
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