ソニーの早期退職 2024

早期退職

2024年の早期退職

ソニーグループの子会社で家庭用ゲーム機などのゲーム事業を行う「ソニー・インタラクティブエンタテインメント」が、社員全体のおよそ8%にあたるおよそ900人の人員削減を行うと発表しました。

人員削減の理由について、ゲーム業界が大きく変化し事業を強化する必要があるとしたうえで、「構造改革を行い効率化に取り組み、経営資源を合理化することで持続的な成長を実現させる」などとしています。

ソニーグループのゲーム事業においては、家庭用ゲーム機のプレイステーションを手がけていますが、今月行った決算発表では、ゲーム事業を含む分野の今年度の売り上げの見通しについて、それまでより2100億円引き下げ、4兆1500億円に下方修正していました。

江戸太郎
江戸太郎

半導体の価格が高騰して、ゲーム機本体が値上がりしたので、売上が減るということだ

切り捨てSONY

そもそも、ソニーのリストラは今に始まった話ではありません。

出井伸之CEO時代の経営機構改革以降、ソニーは絶えず早期退職を募っています。1999年、エレクトロニクス事業のリストラによって、従業員17万人のうちの10%を削減しました。以来、ソニーは、20年近く早期退職を行なっています。もはや日常茶飯事で、従業員は慣れっこになってしまっているようでもあります。

本稿見出しの「切り捨てSONY」とは、ジャーナリストの清武英利さんが2015年に出版した本のタイトルです。ソニーは、創業者の井深さんと盛田さんがエレクトロニクス産業の夢を現実にした、日本を代表する企業です。華やかだったイメージはすっかり過去の遺物となり、今はリストラが当たり前の企業となってしまいました。

江戸太郎
江戸太郎

井深さん、盛田さんは、自分の会社の衰退を見ることなく亡くなったので、ある意味幸せだったかも

この本の発刊当時は、決して他人事とは受け止めずに読んでいたものの、いざ自分の身に直面してみて、改めて早期退職の苦しみにあえいだ方々の思いを受け止めている段階です。

電機産業の大リストラがスタンダード化

もっとも、1990年のバブル崩壊、2000年台のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックという経済の落ち込みによって、日本の電機産業全体が競争力を失い、総崩れ状態となったので、ソニーだけが経営のかじ取りを誤ったわけではありません。出井さん以降は、構造変化に追われるだけの経営に終始させられている面もあります。

それでも、日本において、電機産業のリストラ・早期退職は、社会のスタンダードであり、やむを得ないものと思わせる現象となりました。いまだに日本を覆うデフレの心理状態の遠因でもあります。

社員にとって、早期退職はもはや当たり前?

「もはや恒例行事」と揶揄されている早期退職について、免疫がついてしまったせいか、ソニーの社員も今更大きな驚きはないようです。来るべき早期退職を見越して、人生設計を組む人が少なからずいます。

若手社員は、定年まで勤めあげるという思いは希薄です。転職することを前提に活動しています。60歳の定年まで勤めた場合、再雇用制度がありますが、年収はおよそ4分の1に激減します。なかにはシニアエキスパートという処遇で、600万円程度の給与をもらえる人がいますが、わずかです。

創業者亡きあと、冴えないのは偶然か必然か?

ソニーの歴代社長は、前田多門、井深大、盛田昭夫、岩間和夫、大賀典雄、出井伸之、安藤国威、中鉢良治、ストリンガー、平井一夫、吉田憲一郎、そして現在の十時裕樹です。

ソニーの経営がおかしいと皆が思い始めたのは、出井さんの時代からです。2003年のソニーショック以降、株価は大きく低迷しました。出井さんは、デジタルで第2の創業をすべく「デジタル・ドリーム・キッズ」なる標語を前面に出したものの、実際は革新的な製品を出せずに、時代から遅れていきました。

その陰で、キャリアデザイン室というリストラ部屋が作られ、不要の烙印を押された社員が押し込められていったは悲しい現実があります。

リストラの一方で、上がっていく役員の収入

早期退職やリストラの現実を調べていて、不思議に思うのが「苦しむ社員がいる反面、役員の待遇が上がる」現象です。

仲間たちが苦しんでいる中で、自分だけがいい思いをしていて気分がいいでしょうか?それで、社員から支持されると思っているのでしょうか?

ちなみに、2023年時点の吉田憲一郎CEOの年収は「20億8400万円」でした。新しい事業を成功させた対価であれば、高額の報酬もごもっともですが、年収300万円程度の人々との働きの差がそこまであるのか、ソニーの社員が不満に思っていないのか気になるところです。

雑記

あとから、思ったことを付記しました。

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