東芝は果たして立ち直れるのか?

早期退職

2014年に不正会計が発覚して以降、東芝は迷走を続けてきました。それ以来、経営状態が上向くことはなく、先日4,000人の人員削減策を発表しました。何か奇跡でも起きない限り、東芝の再浮上はないのではと思ってしまう悲しい展開です

江戸太郎
江戸太郎

かつて東芝再建に奔走していたメザシの土光さんを思い出すのだ…

早期退職4,000人

再興計画に書いてある中で、目を引くのは3つです。

  • 最⼤で4,000⼈の早期退職を実施
  • 川崎へ本社機能を移転
  • 電力やインフラなど事業ごとに4つに分かれている子会社を統合する
江戸太郎
江戸太郎

4,000人は、実に国内の従業員6万6000人の6%にあたる。

分社化でバラバラになるよりも、川崎で一つにまとまることは改善といえます。それでも、数万人規模の企業ですから、これまでの低迷の気風の改善は、かなり困難と言えましょう。

東芝の不正会計

ここで、2014年の不正会計はどういうものだったか、簡単におさらいします。

①工事原価の操作

工事進行基準とは、工事の契約に関して、収益の総額、原価の総額及び決算日における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて当期の工事収益及び工事原価を認識する方法です。

この「合理的」というのが曲者で、主観的な判断によって見積もりを操作することができます。この点で不正操作を行い、工事原価を不当に低く抑えて、架空の利益を計上していました。

②損失引当金の操作

工事損失引当金とは、特定の案件について最終的に赤字が見込まれる場合に計上すべき負債です。

契約の受注時点から赤字が見込まれていた案件や、工事期間中に赤字に転落する可能性が高まった案件についても、トップダウンの指示により工事損失引当金の計上を回避していました。

③広告費や物流費の操作

主にテレビ事業で、取引先に請求書の発行などを遅らせてもらい、広告費や物流費を翌四半期に先送りにしました。また、グループ間の未実現利益が消去されないという例外を利用して、東芝から海外現地法人へ販売する製品価格を、期末に増額させていたこともありました。

④在庫の評価減をしない

通常、売れ残りの在庫は、廃棄しなければなりません。本来であれば、在庫が売れなくなる見込みが立った時点で損失として計上するのですが、売れなくなる見込みが立っても損失として計上せず、実際に廃棄したタイミングで損失として計上していました。
実際に廃棄したタイミングであれば、自分たちに都合の良いタイミングで損失を計上することができるのです。この点が不適切な会計処理とされたのです。

⑤機能しなかった監査

不正発覚当時の東芝は、「指名委員会等設置会社」でした。本来、不正会計が生じた際は、監査委員会が組織の不正を糾す役割を担いますが、第三者委員会調査では監査委員会が機能していなかったと指摘されました。ちなみに、監査委員長は社内の元財務担当、監査委員には3人の社外取締役が入っていたものの、第三者委員会は「財務・経理に十分な知見を有している者はいなかった」 と木っ端微塵に叩き潰しました。

江戸太郎
江戸太郎

会社法の教科書には、委員会設置会社はガバナンスが利くと説明があるが、まったく出鱈目だ。

再興計画は達成可能か?

不正会計の教訓を受けて、今回の再興計画では以下の3点を骨子に据えています。

  • 固定費を減らす
  • 引当金を減らす
  • 無理な目標を立てない
江戸太郎
江戸太郎

まぁ、当然のことを言っているだけだね

最大の課題は中長期的な仕込みができるか

東芝の事業は、デジタルソリューション、エネルギー、デバイス、インフラ、ビル・リテール・電池の5部門で構成されています。このうち、利益率が低迷しているものの将来的に浮上が可能と思われているのがデバイス事業です。また、エネルギー事業は売り上げが横ばいです。

江戸太郎
江戸太郎

今後、どうなんでしょうね…

相当な人が早期退職を選択するのでは

不正会計で揺れた後も、米国の原発子会社ウェスチングハウスが経営破綻という出来事がありました。また、物言う株主を抑えるために、株主総会に経済産業省の役人を関与させる不透明な動きが暴露されました。そして、会社分割騒ぎと大株主の「身売り」要求なども相次ぎ、東芝経営陣への不信は相当高まってしまいました。

このような経緯を踏まえると、愛着のある会社を離れる決断を下す社員は、かなりの数になるのではないでしょうか。

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